先天性筋無力症候群は、2015 年に難病法が改定されたとき、新たに指定難病とされました。
先天性筋無力症候群は、神経筋接合部分子の先天的な欠損及び機能異常により、筋力低下や易疲労性を来す疾患です。遺伝子の配列が正常者と異なることによって、筋肉に信号が伝えられにくいことや、または本来の仕事である信号を伝える機能を果たせなくなることが原因です。出生直後に泣く力が弱い、母乳を吸う力が弱いなど軽度の筋力低下から、呼吸困難のために人工呼吸器が必要になるという重度の筋力低下まで症状は幅広く、出生直後のこれらの症状がいったん軽快し、幼少児期に再度、持続的な筋力低下や運動するにつれて筋力が弱くなるなど筋無力症状が出ます。
眼球運動障害は個人差があり、出生直後の一時的な筋力低下を含めて2歳以下に何らかの筋無力症状を発症することが多いのですが、成人発症の場合も多数あります。現在、先天性筋無力症候群の患者は日本では約 100 人程度と言われていますが、イギリスでの学会発表によると、小児重症筋無力症に罹患している患者よりも多いとされています。
日本ではあまり知られていなかったのですが、難病指定されたことで、ダブルセロネガティブの患者(抗体が検出されない患者) の中で、治療の効果がない・検査の値が出ない・精神的なものではないか、と言われてきた患者に、この先天性筋無力症候群の場合があるのではないかと考えています。
先天性筋無力症候群を研究し、難病指定に導いてくださったのは、名古屋大学大学院 医学系研究科 神経遺伝情報学 大野欽司教授です。先天性筋無力症候群であるかどうかは、遺伝子検査等特別な検査で判定できます。しかし、この検査は誰でも簡単に受けることができるものではなく、検査費用もかかります。
先天性筋無力症のご質問、検査、病院などのご質問は事務局までご連絡ください。
先天性筋無力症候群
先天性筋無力症候群は、筋電図に特徴があります。
筋無力症で有効とされるステロイドや免疫抑制剤は効果がありません。メスチノンは効果がある場合があります。
治療薬は、有効とされる薬がありますが日本では認可されていません。
先天性筋無力症候群と判定された場合
ステロイドや免疫抑制剤など無用な服薬をする必要がなくなり、投薬による二次障害を防ぐことができます。
また何よりも、筋無力症の症状があるけれど、疑わしいとか様子見といった状態で、理解してもらえず、毎日を不安な状態で過ごすことに一つの確認ができるかもしれません。
先天性筋無力症候群について詳細を知りたい方、また診断を受けてみたい方は、事務局までご連絡下さい。