外来と薬の処方について(4月3日現在の状況)

皆さま

今日の東京はとても良い天気でしたが、朝晩の気温の差が激しいので体調管理に気を使います。
外来受診状況や薬の処方について質問が多くなってきましたので、当会の顧問の先生方にお聞し、ご回答をいただきました。
この回答は、2020年4月3日現在の情報で、情勢や対応には変動があります。
このメールの後にご回答をいただいた情報や病院として公開している情報は、随時当会のHPにアップしてまいります。
ご不明な点、ご質問などお気軽にお知らせください。

ご回答いただきました先生方皆さんが危惧していることは、コロナウィルスの罹患を恐れ、勝手に薬の量を減らしたり、薬を飲むことを止めることです。実際に体調を崩し、受診される方がいます。このような情勢の中、満足な治療を行うことが困難になってきています。

くれぐれも主治医の指示に従って、体調管理に努めてください。

 

【先生方へのご質問】  2020年4月3日
・外来の予約が入っているのですが、どうしたらよいか?
・薬が無いのだけれどどうすればいいでしょうか?外来に行かないとダメでしょうか?
・血液検査の予約が入っているのですが外来に行った方がいいですか?
・に行かなくても薬を出してもらうことは出来ますか?

※回答は、2020年4月3日現在の時点です。情勢や対応には変動があります。
※主治医の指示に従って、くれぐれも勝手な減量、中止は絶対に控えてください。

※先生から頂戴いたしました回答を転記しております。

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慶應義塾大学病院
神経内科 鈴木 重明先生
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薬の処方については、電話で院外処方を出すシステムが開始しています。ただし、電話がつながりにくくご不便をかけています。
近所の先生に処方継続をお願いする方法もあります。
その場合、MGの主治医である鈴木が承諾していると伝えていただいて結構です。
現在、外来受診時の前日にお電話をかけています。でも1回で連絡がつくのは半数くらいでしょうか。
状況は日に日に厳しくなる一方で先が読めません.

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東京女子医科大学小児科
石垣 景子先生
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私は自分の患者さんたちは、すべて電話診療による処方箋発行に切り替えています。
予約の入っている患者さんたちに数日前からご連絡し、ご希望をうかがいますが、基本的には海外からのMG診療ガイダンスでは電話診療が推奨されている旨を伝えています。電話診療と処方箋発行は厚労省からも認められています。

大学の場合は、予約の入っている時間に、こちらからお電話をして、電話診療を行い、かかりつけ薬局の住所やFAX番号などをうかがいます。あらかじめ、ご家族から薬局に処方箋が大学から届くことを伝えて頂きます。薬局情報を記載した書類と、有効期限を延ばした処置をした処方箋を事務が薬局にFAXします(名前はマスキングします)。その後、処方箋本体を大学から薬局に送付します。電話診療料金と送料は次回外来で精算して頂く形です。

瀬川記念小児神経学クリニックのMG外来
患者さんに電話診療が可能である情報提供は必要と院長と相談し、全例電話に切り替えました。瀬川の場合は、FAXは送らず、処方箋をそのままご自宅にお送りする形をとっています。

移動だけでもリスクになりますし、大学病院によっては、待合室もリスクになります。瀬川のようなクリニックは、リスクは低いと思いますし、車移動ならある程度は防げると思いますが、私は電話診療をリコメンドしてます。

採血がある場合は、メリットデメリットを考慮して、先生にご相談して判断して頂くのが良いと思います。定期採血ならスキップできます。在宅の入っている方などでしたら、在宅医に依頼するのも手かもしれません。

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埼玉医大総合医療センター 
神経内科 野村 恭一先生
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埼玉医大総合医療センターでは、本人、家族に来院していただき、90日 間の長期処方をしております。
電話による処方を希望される患者もありますが、現在の医師法では電話のみでは処方できません。
一時期、報道で電話による処方の解禁するとの意見もありましたが、厚労省は許可しておりません。

外来の予約が入っているのですが、どうしたらよいか? 
→ 症状に変化がなければ、お薬の予備があれば、通院しなくてもよいか。
薬が無いのだけれどどうすればいいでしょうか?外来に行かないとダメでしょうか? → 現在の状況では外来を受診してください。
血液検査の予約が入っているのですが外来に行った方がいいですか? 
→ 特別な検査でなければ、キャンセルか。
病院に行かなくても薬を出してもらうことは出来ますか? 
→ 現状では困難と思われます。
家庭医がいらっしゃればお薬の処方をお願いすることも可能か。

重症筋無力症の患者さまの多くは免疫抑制薬、ステロイド薬を服用しており、糖尿病,高血圧などの合併症を認めるため、今回のコロナウイルス感染には十分に注意してください。

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国際医療福祉大学三田病院
神経内科 村井 弘之先生
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三田病院の例を出します。
三田病院でも、一人、病院に行くのがこわいから薬を送ってくれないか、と電話があったので、医事課に相談したら、基本的にそれはやっていない、代理で家族に来てもらうなどすれば、薬のみ処方ということも可能、と答えられました。しかし、家族が行くのも難しいということだったので、その後強く交渉したところ、では今回は仕方ないので、例外として郵送しましょう、ということになりました。
近医にお薬手帳を見せるという方法もいいかもしれませんね。

ですから、一般論として、どうしたらいい、ということは言えないと思います。
いまのところ、ケースバイケースなのではないでしょうか。それぞれのかかってある病院にたずねてください、というしかないように思います。

血液検査も急がないものならあえて行かなくても、と思いますが、急ぐ項目があるかもしれないので、主治医に確認したほうがいいと思われます。

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東京医科大学
神経内科 増田 眞之先生
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外来予約の1割程度の方が予約をキャンセルされています。

東京医大では、10時~12時、13時~15時の間に電話での処方対応しています。
どうしても、出かけられない方にも薬が手元に届くように対応法が決まっていますので
詳細は、病院にお電話で問い合わせてください。
国としても、電話での処方を許可していますので、他の施設でも可能と思います。
個人的には、会計が後日必要になるのと、現時点では日を追って、コロナ感染の状況が
悪化しているので、今のうちに受診できる方は来ていただく方が良いと思っています。

それと、実際に起きている事例ですが、感染を恐れて全く相談無いまま内服を中断されてMG症状が増悪し、臨時の受診を頻回にしている方がいます。
その場合、命にかかわる症状であれば入院を伴う治療が必要になります。当然病院への
負担が増大し、新型コロナ感染患者への対応に支障となる可能性もあります。
ご自身も通院の回数が増えれば当然交通機関を利用するわけですので感染リスクも上がります。

くれぐれも、落ち着いている場合は勝手に内服薬を中断したり、いたずらに減らしたりしないようにしてください。

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東邦大学医療センター大橋病院 
脳神経内科 紺野 晋吾先生
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当院では現在、電話のみでの処方箋発行の体制を整えている最中であります。
体制が整うまでは、下記の方法で対応させていただいております。

患者ご本人さまが来院される場合
1)長期処方をおこない、受診間隔を延長いたします。
2)院内滞在時間を短くするために、体調変化なければ諸検査(採血など)はスキップ可能です。お申し出ください。

患者様が来院されない場合には
3)ご家族のみの来院も可能です。患者様の状態をお聞きして処方箋を発行いたします。
4)かかりつけ医をお持ちのかたは、事情をお話しのうえ、当院分処方もご処方して
いただいても結構です。

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長崎大学病院
神経内科 本村 政勝先生
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長崎大学病院で、週に3回、外来を行っています。
30年以上、診ているMG・LEMS患者さんがいます。このような長い患者さんは、毎月ではなく、2?3ヶ月に1度の頻度で外来を行っています。
MG/LEMS患者さんは、プレドニンや免疫抑制薬を内服しておりますので、新型コロナウイルスには十分に気をつけてくださいと説明しています。
新型コロナウイルス騒動が始まってからは、3ヶ月から半年分の処方が出せるようになりました。以前は、3ヶ月分で電子カルテ上制限がかかっていました。
私は、患者さんと相談して、処方の期間を決めています。
今週の外来では、2から3ヶ月分の処方が多かったようです。
患者さんの中には、毎月来ていてそれが習慣になっており、それが良いという方もいます。

長崎の新型コロナウイルスの陽性者は、昨日4/3時点で8名でした。
東京などと比較すると少ない方かと思いますが、これから増えてくることは間違いありません。そうなると、患者さんの家族が来て戴き、薬を処方したいと考えています。

長崎と東京は、状況が異なると思いますので、参考にはならないかと思いますが、地方では、このようにしているとう風に考えてください。

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医療法人同和会 神経研究所 神経内科千葉
神経研究所所長 川口 直樹先生
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ご質問についてですが、医療機関各々によって対応が異なります。正確なことは通院中の医療機関に問い合わせて頂くしかありません。患者さんの症状、仕事や住居環境などによっても判断が変わってきます。

当院では患者さんの状況を私が把握しておりますので「電話再診」の対応が可能です。直接患者さんと電話で話すことにより、診察に準じて対応します。
患者さんご指定の薬局に処方箋をファックス送信しますので、当院に来院せずして薬を薬局で受け取ることが出来ます。内服薬がなく現在の状況を確認するのみであれば、電話通話のみということになります。症状が安定しており、合併症(糖尿病や脂質異常、骨粗しょう症など)のコントロールが悪くなければ、検査は延期が可能です。検査のための受診が必要かどうかは主治医との相談事項になると思います。
以上は当院での対応であり一例に過ぎません。当院のような脳神経内科クリニックとCOVID19患者の治療をしている総合病院では状況が大きく異なりますので、その点も強調して皆さんにお伝えください。

ソリリスやIVIgを継続的に行っている方では継続が必要です。
自己判断での受診取りやめや治療中止ということは、厳に慎むようにお願い申し上げます。